「フィラメント」漆原友紀

漫画。
漆原さんというのは「蟲師」を書いている人なんですけども、あの雰囲気がいいなと思ったので違う本も見てみようと思ったのです。
なんというか神話や民話や伝承に近く、オカルトな感じだと思います。(オカルトと言っても、怖い話系ではないです。)


私が今住んでいるところは昔から稲作が盛んでして、今も続いているんですけども、それはそれは昔の水道もない頃、日照りが続くと田んぼに水が来ず、干上がってよくないそうでした。そういうときには氏神様が祭られているあそこの神社に行って捧げものをして祈るんだよと。雨乞いをするんだと。そうすればきっと雨が降ると。
このような日本ならどこにでもありそうな民話を前に祖母から聞きました。
現代的な科学信仰に基づけば、それは迷信で非科学的な行為です。しかし、昔の人はそう思ってなかったんでしょうたぶん。神様はいたんです。少なくとも彼らは、いると信じていたんです。彼らの世界では、ひとつの真実だったんです。
そういうひとつの真実が、神話や民話や伝承の類だと私は思っていて、この本はそういうものに近いと感じました。
不思議と懐かしい感じがします。子供の頃には、もっと別の世界に近かったんでしょうか。無知というのは素直で順応性があるということですからね。
読み終わってから、現実が少しずれたような浮遊感があって、おもしろかったです。

フィラメント~漆原友紀作品集~ (アフタヌーンKC)

フィラメント~漆原友紀作品集~ (アフタヌーンKC)