休日は眠っている

「予定の時間になりました。予定の時間になりました。予定の時間になりました。予定の時間になりました。予定の時間になりました。予定の時間になりました。予定の…」
ケータイの合成音声で起こされる。寝ぼけたまま手探り、枕元で鳴るケータイを切る。
眠いし頭が重いし何の予定だ。薄く目を開いて時刻表示を見ると11:45で、そういえば歯医者の予約だと思い出したが、今から起き出したら間に合わない。予約を反故にしてしまった。
深く息を吐いて、反射で息を吸って無意識に呼吸をしながら、また眠ろうと思う。
確か嫌なことがあったのだ。眠りすぎて少し遠く感じる記憶がある。人と喧嘩に近いやり取りをした。
あの場では私はただ不機嫌だったはずだが、人を怒らせてしまったと一人になってから悔やむ。私が悪かったのか? わからないけど、罪悪感がある。言わなければよかった。
喧嘩も後悔も昨日のことだ。あの場所には行きたくない。眠ろう。もっと記憶を遠くしよう。そうすれば怖いのが減る気がする。
寝て起きたら本を読もう。本やゲームは好きだ。電車の中で本を読んで、頭の中の大部分が現実と食い違いふわふわしたまま歩いて会社に行くのが日課だ。自分のことは考えまい。逃げたいけど、それを誤魔化しながら歩く。自分なんか必要でなくても、あの場所に居たくなくても、他に行く場所もないのだ。
とりあえず眠ってしまおう。考えたくない。思い知りたくない。