死んでない

よく眠れたはずの休日の午前9時、ぼやけた頭が徐々に覚醒しつつ最初に思ったのはそんなこと。死にたいと思いながら死んではいない。外は穏やかに晴れている。


ほしいものはたくさんある。
雑談中のなんてことのない話題に、私は発する言葉を見つけられず、妙な間が空いて相手が言う。「なんかおもしろいことないかなあ」。ほしいものがあると思うのはこんなときだ。
私には不足しているものがたくさんあるようだと、うっすらと知覚している。だから、ほしいものはそれ。人並みの能力。人並みの感覚。人並みの幸せ。人が普通だというそれらのもの。
私はそれを身に付ける為に、訓練が必要なんだと思う。訓練で身に付くと信じるほかない。だから、頑張らないといけない。自分が嫌いだと言いたくない。


頑張らないといけない。そう呟くと、前向きな言葉と背中合わせのように絶望感が脳裏を掠める。死ねたらいいのにな。そしたら、面倒なことはないのにな。道のりが遠すぎて不安ばかり積もっている現在を、打ち消せないでいる。どうやって過ごしていこうか、まだ選べていないのだ。


いつの間にかまた秋だよ。そろそろ金木犀が咲くかな。